チャートパターンとは、トレンドの反転や継続を示唆する特徴的な形状を元に、将来の価格動向を予測するための分析手法です。
例えば相場分析の基礎とされるダウ理論は、トレンドに沿って取引することの重要性を示しています。トレンドがいつ転換するか、または継続するかを知ることは非常に重要で、この理解を深めるためにチャートパターン分析が役立ちます。
- トレンドの転換点を予測することができる
- トレンドの転換が起こった場合、為替レートがどの程度動くかを予測することができる
チャートパターンは大きく「転換型」と「保ち合い型」の二つに分類されます。
転換型と保ち合い型ってどう違うの?
転換型パターンは名前の通り、市場のトレンドが変わるサインなんだ。例えば、価格がずっと上がっていたとして、それが突然下がり始める時に現れる形があるよ。
なるほど!じゃあ保ち合い型パターンは?
保ち合い型は、トレンドが一時的に休憩しているみたいなもの。価格が特定の範囲内で上下しているけど、大きなトレンドの方向性は変わらないっていうサインだよ!
チャートパターン一覧
転換型(リバーサルパターン)
転換型(リバーサルパターン)は、主に価格が高値圏や安値圏に位置する際に見られ、トレンドの変化を示します。
例えば、市場が上昇トレンドにある時に転換型パターンが出現すると、それは上昇トレンドの弱まりを示し、下降トレンドへの転換を予測する手がかりになります。
逆に、下降トレンドの場合は上昇トレンドへの転換を示唆します。
転換型の代表的な6つのチャートパターンは以下の通りです。
- ヘッド&ショルダーズ・トップ(三尊天井)
- ヘッド&ショルダーズ・ボトム(逆三尊)
- ダブル・トップ
- ダブル・ボトム
- トリプル・トップ
- トリプル・ボトム
これらのパターンを理解し、見極めることがトレンド転換の予測には重要となります。
ヘッド&ショルダーズ・トップ
ヘッド・アンド・ショルダー・トップ、または「三尊天井」とも呼ばれるパターンは、上昇トレンドの終わりを示す転換型チャートパターンです。
通常、これらの側面の高値はほぼ同じ価格レベルになることが一般的です。
また、このパターンにおいて重要な要素はネックラインです。ネックラインはトレンドの変化点を示し、例えば市場が上昇トレンドにある場合、一度下落した際の最低価格がネックラインとなります。
ネックラインは多くの投資家に注目されるポイントであり、このライン付近では価格が跳ね返る傾向があります。しかし、一方でこのラインが破られるとトレンドの転換の可能性が高まります。
したがって、ヘッド・アンド・ショルダー・トップのパターンが形成されても、ネックラインを下回らない限りは完全なパターンとはみなされません。価格がネックラインを下回った時点で、上昇トレンドの終焉と分析するのが一般的です。
ヘッド・アンド・ショルダー・ボトム(逆三尊)
ヘッド・アンド・ショルダー・ボトム、通称「逆三尊」として知られるパターンは、下降トレンドの終了を示す転換型チャートパターンです。
ヘッド・アンド・ショルダー・ボトム(逆三尊)は、下降トレンドの終了を示唆する転換型のパターンです。両サイドの安値がほぼ同じ価格レベルにあることが一般的で、この形状が成立するとき、ネックラインが非常に重要な役割を果たします。
ネックラインを突破するまでは、このパターンが完成したとは言えません。価格がネックラインを上回ると、下降トレンドが終了し、上昇トレンドへの転換が確認されます。これが重要なシグナルとなり、トレーダーはこの突破を上昇トレンド開始のサインとして捉えます。
ダブルトップ
ダブル・トップは、上昇トレンドの終わりを示唆する転換型パターンで、特徴的なのは2つの高値がほぼ同じ価格レベルで形成されることです。この2つの高値は、上昇トレンドが一度ピークに達し、再び同じような価格帯で抵抗を受ける現象を示します。
このパターンでもネックラインが非常に重要で、ネックラインは2つの高値の間の谷(安値)を結んだラインです。価格がネックラインを下回った時、ダブル・トップが完成し、上昇トレンドの終了と下降トレンドへの転換を示唆します。ネックライン突破は、トレーダーにとって売りのシグナルとなりやすいポイントです。
価格がネックラインを下回った時点で、ダブル・トップのパターンが完成し、上昇トレンドの終了と判断されます。このタイミングは、市場の勢いが弱まり、方向転換の兆しが現れたことを意味します。トレーダーにとっては、売りのシグナルとして非常に重要であり、次の価格の下落を予測するための重要な分析ポイントとなります。
ダブルボトム
ダブル・ボトムは、下降トレンドの終わりを示す転換型チャートパターンで、特徴的なのは2つの安値が同じかほぼ同じ価格レベルで形成される点です。このパターンでは、ネックラインが重要なポイントとなります。
ネックラインを上回ると、ダブル・ボトムが完成したと見なされ、下降トレンドの終了とともに、上昇トレンドへの転換が予測されます。ネックライン突破は、買いシグナルとしても重要視され、トレーダーにとっては有力なエントリーのタイミングとなります。
価格がネックラインを上回ると、ダブル・ボトムが完成し、下降トレンドが終焉を迎えることが示されます。このパターンは、下降トレンドからの市場の方向転換を示す重要な指標となり、トレーダーにとってはエントリーのタイミングや戦略において重要なシグナルとなります。
トリプル・トップ
トリプル・トップは、上昇トレンドの終焉を示す転換型チャートパターンで、3回の高値が同じかほぼ同じ価格レベルで形成されることがその特徴です。
このパターンでも重要なのはネックラインです。
価格がネックラインを下回ると、トリプル・トップが完成し、上昇トレンドの終わりを意味します。このパターンは、上昇トレンドの勢いが衰え、市場が下降トレンドに転換する兆候を示します。トレーダーにとって、このシグナルは売りのタイミングを判断するうえで重要な指標となります。
トリプル・ボトム
トリプル・ボトムは、下降トレンドの終焉を示唆する転換型チャートパターンで、3つの安値が同じかほぼ同じ価格で形成されることがその主な特徴です。
このパターンにおいても特に重要なのはネックラインです。
価格がネックラインを上回ると、トリプル・ボトムが完成し、下降トレンドの終わりを示します。このパターンは、市場が上昇トレンドに転換する可能性を示唆するため、トレーダーにとって買いのタイミングを見極めるうえで重要なサインとなります。
保ち合い型(コンティニュエイションパターン)
保ち合い型(コンティニュエイションパターン)は、トレンドが一時的に停止する場面で現れ、その後トレンドが元の方向に戻ることを予兆するものです。
例えば、市場が上昇トレンドにある時、その勢いがいったん弱まり、保ち合い型のチャートパターンが形成されると、その休憩の後に再度上昇トレンドが継続することが予測されます。
保ち合い型の代表的な9つのチャートパターンは以下の通りです。
- アセンディング・トライアングル
- ディセンディング・トライアングル
- 上昇フラッグ
- 下降フラッグ
- 上昇ウェッジ
- 下降ウェッジ
これらのパターンを理解し、適切に分析することで、トレンドの次の動きを効果的に予測することが可能となります。
アセンディング・トライアングル
アセンディング・トライアングルは、上昇トレンドの途中でよく見られるパターンです。この形では、上限が水平のレジスタンスライン、下限が上向きのサポートラインで構成されています。一時的な調整期間に形成されることが多いですが、基本的には上昇トレンドの継続を示唆します。
このパターンでは、価格がレジスタンスラインを突破すると、再び上昇トレンドが勢いを増すことが一般的です。そのため、トレーダーはレジスタンスラインをしっかり突破したことを確認してから買いポジションを取るのが一般的です。
ディセンディング・トライアングル
ディセンディング・トライアングルは、下値が水平のサポートラインで支えられ、上値が右下がりのレジスタンスラインで抑えられる形のパターンです。このパターンは、主に下落トレンドが一時的に休んでいる期間に見られることが多いです。
一般的に継続型パターンとされ、サポートラインを下抜けると下落トレンドがさらに加速する可能性があります。そのため、トレーダーはサポートラインを明確に割ったことを確認してから売りポジションを取るのが基本的な戦略となります。
上昇フラッグ
上昇フラッグは、上昇トレンド中に一時的な調整が入る際に現れるチャートパターンで、レジスタンスラインとサポートラインが平行に右下がりになっているのが特徴です。
このパターンは継続型として知られており、上昇トレンドが一時的に休止しているだけであることを示します。レジスタンスラインを上に抜けると、上昇トレンドが再び勢いを増すことが期待されます。そのため、レジスタンスラインのブレイクを確認した後に買いポジションを取るのが一般的なアプローチです。
下降フラッグ
下降フラッグは、下落トレンド中に一時的な戻りが発生する際に現れるチャートパターンで、レジスタンスラインとサポートラインが平行に右上がりになっているのが特徴です。
このパターンは、下落トレンドの一時的な調整を示す継続型パターンとして知られています。サポートラインを下抜けると、下落トレンドが再び勢いを増すことが多いため、サポートラインのブレイクを確認してから売りポジションを取るのが一般的な戦略とされています。
上昇ウェッジ
上昇ウェッジは、高値と安値が徐々に切り上がりながら、レジスタンスラインとサポートラインが収束していく形状のチャートパターンです。このパターンでは、価格の動きが徐々に狭まり、最終的にどちらかに大きく動く可能性が高いことを示しています。
このパターンは、継続型と反転型の両方の特徴を持つ場合があります。通常、ウェッジがトレンドとは逆方向に傾斜している場合は継続型とされ、例えば下降トレンド中に上昇ウェッジが形成された場合は、サポートラインを下抜けると下落トレンドの継続を示唆します。
一方で、稀にウェッジがトレンドと同じ方向に傾斜している場合は、反転型として解釈されることがあります。そのため、上昇ウェッジが形成された際には、どちらのタイプかを判断するためにブレイクの方向を確認することが重要です。
ウェッジ型は、転換型と保ち合い型の両方を兼ね備えているので、抜ける方向に注意が必要だよ!
下降ウェッジ
下降ウェッジは、高値と安値が徐々に切り下がりながら、レジスタンスラインとサポートラインが収束していく形状を持つチャートパターンです。このパターンでは、価格の動きが次第に狭まり、最終的に大きなブレイクが発生する可能性が高いことを示唆しています。
このパターンは、継続型と反転型の両方の特徴を持つ場合があります。一般的には、下降ウェッジがトレンドとは逆方向に傾斜している場合は継続型とされます。例えば、上昇トレンド中に下降ウェッジが形成された場合、レジスタンスラインを上抜けることで、トレンドの継続が示されると分析されます。
一方で、稀に下降ウェッジがトレンドと同じ方向に傾斜する反転型として現れる場合もあります。このような場合、サポートラインを下抜けると新たな下降トレンドの始まりを示唆する可能性があります。
どちらの場合でも、ブレイクの方向を確認してからトレード戦略を立てることが重要です。
チャートパターンを使い取引をする際の注意点
FX取引では、利益を保証する手法やテクニカル分析は存在しません。チャートパターンも例外ではなく、市場の状況次第で期待通りに機能しないことがあります。
相場はニュースや経済指標など多くの要因に影響されるため、チャート分析に頼りすぎず、リスク管理を徹底することが重要です。柔軟に対応し、他の情報も組み合わせて活用しましょう。
『だまし』には十分注意しよう!
例えば、上昇トレンド中にヘッド・アンド・ショルダー・トップ(三尊天井)パターンが現れ、これを基に売りポジションを取った場合、市場が予想に反してさらに上昇し、損失を被る可能性もあります。
チャートパターンの知識は有益ですが、利益が保証されるわけではないことを理解し、そのリスクをしっかりと考慮することが重要です。
まとめ
チャートパターンの分析は、実際にチャート上に線を引いて形状を識別することから始まります。多くのチャートを観察し、繰り返し線を引くことで、より正確な分析ができるようになります。経験を積むことで、チャートパターンを効果的に活用し、取引の幅を広げることができます。
ぜひチャートパターンを活用して、取引の幅を広げてください。