FXでよく言われる言葉として「退場」というものがあります。これはスポーツで使われるような、違反をしたため追い出されるという意味ではなく、FX特有の意味を持っています。
今回は、FXでよく使われる「退場」の意味について説明をします。FXから退場するパターンや退場しないために注意することなどもまとめたので、参考にしてください。
退場する前にやっておくべきことやFX初心者が陥りやすい失敗例などもいくつかご紹介します。
FXの退場とは
「退場」とは、FXの取引から完全に手を引くことを意味します。通常、FXで大きな損失を出し、資金がゼロになった人が「退場した」と表現されます。よく「FXでは多くの人が退場する」と言われますが、実際には金融先物取引業協会の調査によると、FXで利益を出しているトレーダーは全体の約6割に達しているとのことです。したがって、「多くの人が退場する」という表現は少し誤解を招くことがあり、正しくは「退場する人が目立つ」という方が適切と言えるでしょう。
FXを退場するパターン
FXから退場するパターンはたくさんありますが、大きく「投資資金がなくなったため」「ライフスタイルに合わなかったため」の2つがあります。
ここでは、それぞれの詳細について説明をします。
投資資金がなくなって退場する
FXに限らず、投資全般は「継続して勝ち続けることがいかに難しいか」がよく語られます。特に「コツコツドカン」と呼ばれる現象は、多くのトレーダーにとって重大なリスクです。これは、少額の利益を積み重ねてきたものの、一度の大きな損失でそれまでの成果をすべて失ってしまう状況を指します。このような事態に陥ると、精神的な負担も重なり、最終的にFXの世界から退場してしまう人が後を絶ちません。ネット検索をすれば、失敗例や反省談が多数見つかるので、興味がある方は一度チェックしてみると参考になるでしょう。
ライフスタイルに合わず退場する
FXは平日であれば24時間取引が可能です。この柔軟な取引時間は、シフト制で働いている方や夜型のライフスタイルの方にとっては魅力的でしょう。しかし、平日に日中仕事をしている人にとっては、取引の時間を確保することが課題になることもあります。特に、仕事との両立が難しく感じる場合や、取引のタイミングが合わずに成果が出にくい場合、モチベーションが低下してしまうことがあります。これが原因で、土日にできる別の副業やビジネスに移行し、FXから退場する人も一定数いるのが現実です。
FXを始めるならまずは半年粘ろう!
FXの世界で成功を目指すなら、まずは「半年間」を目安に続けてみることをおすすめします。この期間での目標は、自分に合ったトレードスタイルを見つけることです。スキャルピング、デイトレード、スイングトレードなど、さまざまなスタイルがありますが、自分にとって最適なスタイルを見つけることで、より安定した取引が可能になります。結果として、損失を抑えやすくなるでしょう。
半年間を乗り切ったら、次は「1年間」を目標にしてみてください。相場の動きや自分の取引スタイルへの理解が深まることで、さらに着実に利益を積み重ねていける可能性が高まります。継続することで経験値が増え、退場を回避する力も自然と身につくでしょう。
投資資金がなくなって退場しないために注意すること
FXの世界から退場する理由として、常にトップにあるのが「投資資金がなくなったから」という理由です。投資資金を溶かさずに立ち回るだけで、FXの世界から退場しにくくなるでしょう。この段落では、投資資金がなくなってFXの世界から退場しないために注意することを5つ紹介します。
損切りを確実にする習慣をつける
損切りは資金を守るために重要な行為です。初心者は、あらかじめ「10pipsの損失が出たら損切りする」など具体的な基準を決めておきましょう。損切りの基準はpipsでも損失額でも構いません。基準を設定すればスムーズに実行できます。損切りはリスクを抑える大切なスキルなので、積極的に活用しましょう。
ハイレバレッジの取引は手を出さない
高いレバレッジは少ない資金で取引できる一方、大きな損失を招くリスクもあります。例えば、1,000倍のレバレッジは利益が1,000倍になる可能性がある反面、同じ倍率で損失を被る恐れもあります。初心者には1〜3倍程度の低いレバレッジで相場に慣れることをおすすめします。5倍以上になると損益の変動が大きくなるため、慎重に扱いましょう。
利確のタイミングが適切か確認する
FX初心者が陥りがちなのが、利益が出るとすぐに決済してしまうことです。含み益を逃したくない気持ちは理解できますが、それでは継続的に勝ち続けるのは難しいでしょう。例えば、1,000円の利益を9回得ても、1回で1万円の損失を出してしまうとトータルで1,000円の損失になります。勝率が高くても負ける可能性があるのです。利益はできるだけ伸ばし、損切りラインを有利な方向に移動させるなどして、損益バランスを改善する意識を持ちましょう。
分析と反省を習慣づける
同じミスを繰り返していては上達は難しいです。FXで勝ち続けるためには、ミスを減らす努力が必要です。そのために、取引結果を記録して自分の強みと弱みを把握しましょう。
例えば、上昇トレンド時の勝率が30%、下落トレンド時の勝率が80%だった場合、下落トレンドでの取引が得意だと判断できます。強みを見つけたら、その部分をさらに伸ばすことで取引成績が安定していくでしょう。
根拠のないトレードはしない
感覚で取引をしている人もいるかもしれませんが、それは「投資」ではなく「ギャンブル」です。ギャンブルで勝ち続けるのは難しいため、勝ちたいなら戦略を立てた上で取引をする必要があります。
戦略が分からない場合は、まずトレンドの発生条件と終了条件を学んでみましょう。それを基にトレンドフォローで取引を始めるのがおすすめです。シンプルな方法ですが、トレンドを見極めて適切なタイミングで決済することで、根拠のある取引が可能になります。
ライフスタイルに合わず退場する前にやっておくべきこと
何かと忙しい人が多い現代ですが、比較的自由度が高いFXでもライフスタイルに合わず、退場していく人もいるでしょう。しかし、少し工夫をすれば、もしかしたら忙しい人でも海外FXを続けられるかもしれません。ここでは、ライフスタイルに合わずに退場する前にやっておくべき2つのことを紹介するので、参考にしてください。
トレード方法を変えてみる
FXで使えるトレード方法は、大きく以下3つに分けられます。
短時間で完結するトレード方法もあれば、頻繁にチャートを確認しなくてもよいトレード方法もあります。自分のライフスタイルに合わせて、最適なトレード方法を選んでみましょう。
FXの勉強や実践する時間を毎日30分は確保する
新しいことを始めるのはエネルギーが必要ですが、FXがライフスタイルに合わず退場する原因は、習慣が身についていないことが多いです。まずは1日30分だけでもFXと向き合う時間を作り、徐々に慣れていきましょう。習慣化できれば、取引にも挑戦しやすくなります。
FX初心者が陥りやすい失敗に注意!
FXで取引をしているとさまざまな失敗をします。その中でもFX初心者が陥りやすい失敗が5つあります。この段落では、それについて説明するので海外FXに挑戦しようとしている人、挑戦して間もない人はぜひ参考にしてください。ここで失敗例を把握しておけば、今後負う可能性がある損失を少なくできるでしょう。
無計画なナンピン・両建て
ナンピンと両建ては、一見有効な戦略に見えることもありますが、無計画に行うと大きな損失を招くリスクが高いです。ナンピンは、相場が予想と逆に進んだ場合にポジションを追加して平均購入単価を下げる手法ですが、逆に相場がさらに悪化すると、損失が拡大する可能性があります。両建ても、買いと売りのポジションを同時に持つことで利益を得る手法ですが、計画なしに行うとコストがかさみ、結局損失が膨らむ恐れがあります。
対策としては、必ず損切りラインを設定し、例えば「ナンピンや両建ては2回まで」といったルールを決めておくことです。こうすることで、感情に流されず、冷静に取引を進められるようになります。計画的に行えば、起死回生の手段となることもありますが、過信せず慎重に取り組むことが大切です。
ポジポジ病
ポジポジ病は、常にポジションを持っていないと落ち着かない状態のことで、特にFX初心者に多く見られます。この状態では、取引の楽しさや興奮から利益を得られることもありますが、逆に一歩間違うと大きな損失を抱える危険性があります。ポジションを持っていることで安心感を得ようとするあまり、振り返りや反省の時間を取れず、間違った認識のままで取引を続けてしまうことがあります。
対策としては、実際の取引では勝ちを狙い、娯楽や感覚的な取引はデモトレードで行うことをおすすめします。これにより、感情に流されることなく冷静に取引できます。また、投資資金を減らし、持てるポジション数を制限することで、強制的にポジションを減らし、過剰な取引を防ぐことができます。
取引を失敗してメンタルが弱る
FX初心者は負けが続くことが多く、負けが続くことでメンタルが弱って冷静さを欠いた取引をすることがあります。この状態で取引を続けると、さらに損失を増やす可能性があります。
対策としては、まずFXから一度離れて頭を冷やすことが有効です。冷静さを取り戻したら、再び取引を再開しましょう。また、取引ロット数を大きく下げて、リスクを抑えた安全な取引に切り替えるのもおすすめです。相場を冷静に見られるようになり、疎かにしていた重要なことに気づくことができるかもしれません。
スワップポイントの管理
スワップポイントは、2ヶ国間の金利差から発生する利益ですが、逆に金利差によっては支払う必要がある場合もあります。マイナススワップが積み重なると、売買差益があっても最終的な損益がマイナスになることもあるため、注意が必要です。
対策としては、ポジションを持つ前に、そのポジションがプラススワップかマイナススワップかを確認することをおすすめします。取引を行うFX取引所の公式サイトでスワップの詳細をチェックできますので、事前に調べてリスクを避けましょう。
取引時間
FXの取引時間は、以下のように分けられます。
- 東京時間:9時〜17時。値動きが落ち着いている時間帯
- ロンドン時間:16時〜26時。値動きが出てきやすい時間帯
- ニューヨーク時間:21時〜翌朝6時。ロンドン時間で形成されたトレンドに勢いがつきやすい時間帯
時間帯ごとの相場の特徴を把握せずに取引を行うと、思わぬ失敗を招くことがあります。相場は取引時間によって異なる動きをするため、その時間帯に適した取引手法を使うことが重要です。
対策としては、時間帯ごとの特徴を理解し、その時間に合った取引手法を選ぶことをおすすめします。例えば、ロンドン時間(午後3時~午後11時)はボラティリティが高く、トレンドが形成されやすいため、トレンドフォローを行うのが効果的です。各時間帯の相場の動きを把握して、より安定した取引を心がけましょう。
まとめ
今回は、FXでよく言われる「退場」について説明しました。退場の主な理由は、投資資産をすべて失ったことやライフスタイルに合わないことです。退場を避けるためには、損切りの習慣をつけたり、ハイレバレッジを避けることが重要です。
また、初心者はよく陥りがちな失敗を把握し、対策を取ることで退場を防ぐことができます。計画的な取引を心がけ、無理のない範囲で取引を続けることが、安定した取引に繋がります。