FXで取引をすると、スワップポイントが得られます。
スワップポイントとは、異なる金利を持つ通貨ペアを保有している際に発生する金利差の調整額です。このポイントは、保有通貨ペアや市場の状況によって異なります。
今回は、スワップポイントの計算方法と、それを活用して収入を得る「スワップポイント生活」について解説します。スワップポイントの基本を理解し、取引の参考にしてください。
スワップポイントとは
スワップポイントとは、通貨ペア間の金利差に基づいて発生する調整額で、銀行の預金利息に近いイメージです。具体例として、トルコリラ円を使用した場合を考えてみましょう。
例えば、トルコリラの金利が8%、日本円の金利が0.1%と仮定します。この場合の金利差は 8% – 0.1% = 7.9% です。この金利差に基づき、トルコリラ円を保有していると、毎日 7.9%に相当するスワップポイント を受け取ることができます。
スワップポイントの「プラス」と「マイナス」とは
FX取引では、各取引所にスワップポイントの金額が記載されていますが、ここで注意すべきポイントは「プラスのスワップポイント」と「マイナスのスワップポイント」の存在です。
- プラスのスワップポイント: トレーダーが受け取れるスワップポイント。ポジションを持つことで毎日利益が得られます。
- マイナスのスワップポイント: トレーダーが支払うスワップポイント。ポジションを持つことで毎日コストが発生します。
マイナスのスワップポイントが発生する通貨ペアを選ぶと、保有期間が長くなるほど損失が増えるため、事前にしっかりと確認することが重要です。
スワップポイントの受け取り方
スワップポイントを受け取るためには、各FX取引所が定める曜日更新時間をまたぐことが必要です。
例えば、取引所Aが曜日更新時間を朝5時と設定している場合、以下のように注意してください。
- 受け取れる条件: 4時59分から5時まで、対象の通貨ペアを保有している。
- 受け取れない条件: 4時59分に通貨ペアを手放す、または5時以降に通貨ペアを保有する。
スワップポイントを得るには、この「曜日更新時間をまたぐ」というルールを守る必要があります。取引のタイミングを間違えると受け取れないため、曜日更新時間を正確に把握しておきましょう。
スワップポイントのメリット
スワップポイントで利益を狙うメリットは、相場を分析する必要がないことです。駆け引きの必要がなくなるのもメリットでしょう。ここでは、各メリットの詳細について説明します。
相場を分析する必要がない
スワップポイントの大きなメリットは、相場を分析する必要がないことです。売買で利益を得る場合には、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析を駆使して、今後の値動きを予測する必要があります。これはトレードの成果に直結するため、知識と時間が求められます。
一方で、スワップポイントは通貨ペアを保有しているだけで受け取れる仕組みです。そのため、複雑な分析を行う必要がなく、売買で利益を狙う場合と比べて手軽に利益を得られる点が魅力です。スワップポイントは、トレードの負担を軽減したい人にとって、有効な選択肢と言えるでしょう。
トレーダーと駆け引きをする必要がなくなる
スワップポイントのもう一つのメリットは、他のトレーダーとの駆け引きをする必要がないことです。通常の通貨ペアの売買で利益を得る場合、値動きの分析だけでなく、他のトレーダーの心理も読み解く必要があります。例えば、新たな情報が出たときに市場参加者がどう反応するかを考えたり、利益確定や損切りのポイントを予測したりする必要があります。
これに対して、スワップポイントは通貨を保有しているだけで得られるため、こうした心理戦を避けることができます。その結果、余計なストレスや複雑な分析を省けるため、気持ちにゆとりを持ちながら取り組むことができるのが大きな魅力です。
スワップポイントのデメリット
スワップポイントのデメリットは、大きな利益を狙うのが難しいことです。取引の上達には繋がらない、スワップポイントを支払わなければいけないケースがある、などのデメリットもあります。ここでは、各デメリットの詳細について説明します。
大きな利益を狙うのが難しい
スワップポイントのデメリットは、大きな利益を狙うのが難しいことです。高金利通貨ペアを選んだ場合でも、1万通貨あたりで得られるスワップポイントは1日50円程度にとどまることが一般的です。仮に1日50円を受け取れたとしても、1ヶ月で1,500円、1年で18,000円程度の利益にしかなりません。
仮に数十万~数百万円単位のスワップポイントを得たいと考えるなら、数千万円単位の投資資金が必要です。レバレッジを高く設定することで必要資金を抑える方法もありますが、レバレッジを上げればリスクも比例して増加します。
FX取引の上達には繋がりづらい
スワップポイントのデメリットは、FX取引のスキル向上には繋がりづらい点です。スワップポイントは、単に通貨を保有するだけで得られるため、相場の深い分析や他のトレーダーの動向を読み解く必要がありません。
このように、非常に簡単な投資手法ではありますが、それだけに得られるスキルは限定的です。もし、トレーダーとしてのスキルを磨きたいのであれば、売買による利益を目指し、相場分析や取引戦略を積極的に実践することをおすすめします。
スワップポイントを支払わなければいけないケースもある
スワップポイントのデメリットとして、スワップポイントを支払うケースがあることが挙げられます。例えば、ドル円を売りポジションで保有した場合、トレーダーは毎日スワップポイントを支払う必要があります。
さらに、買いポジションでエントリーしていても、金利が逆転すればスワップポイントを支払う立場になる可能性があります。スワップポイントは必ず受け取れるわけではないため、事前に取引条件を確認し、リスクを十分に理解することが重要です。
スワップポイントの計算方法
スワップポイントを計算できるようになると、通貨ペア選びで有利に立ち回れます。
また、スワップポイントを支払う失敗を避けることにも繋がります。以下では、誰でも簡単にできるスワップポイントの計算方法を解説します。ぜひ参考にして、賢い取引を目指してください。
1年あたりの計算方法
1年あたりのスワップポイントは、以下の計算式で求められます。
現在のレート × 保有通貨数 × 金利差 = 1年間のスワップポイント
例えば、日本円の金利は0.1%で米ドルの金利は1%、ドル円のレートは100円で1万通貨保有すると仮定します。この場合は、以下の計算式ができあがります。
100円 × 1万通貨 ×( 1% - 0.1% )÷ 100 = 9,000円
つまり、今回の条件でドル円を1年間保有すると9,000円分のスワップポイントが見込めると予想できます。
1日あたりの計算方法
1日あたりのスワップポイントは、以下の計算式で求められます。
1年間のスワップポイント ÷ 365日 = 1日あたりのスワップポイント
先ほど、1年あたりのドル円のスワップポイントは9,000円と説明しました。この情報を使って1日あたりのスワップポイントを求めましょう。そのようにすると、以下の計算式ができあがります。
9,000円 ÷ 365日 = 24.65円
つまり、1日あたり24.65円のスワップポイントが見込めると予想できます。
スワップポイントで生活はできるのか?
時々、FX界隈では「スワップポイント生活」が話題になります。この段落では、スワップポイント生活の概要やメリット・デメリット、そしてスワップポイント生活はできるのか、などについて説明します。
スワップポイント生活とは
スワップポイント生活とは、その名の通り、FX取引で得られるスワップポイントだけで生活をすることです。
FXには、「高金利通貨ペア」があります。そのような通貨ペアを大量に保有すれば、実は生活できるほどのスワップポイントを得ることができます。実際、スワップポイントだけで数百万円の利益が出ているプロトレーダーも存在します。
スワップポイント生活をするために必要な資金
実際にスワップポイントで生活するために必要な資金を求めてみましょう。今回は、以下の条件で計算します。
・1ヶ月の生活費:20万円
・1日あたりのスワップポイント:50円
・為替レート:1トルコリラ=13円
まずは、レバレッジを100倍かけた場合に必要な資金を求めます。
1. 20万円 ÷ 30日 = 6,666円
2. 6,666円 ÷ 50円 × 100万 = 約133万
3. 133万 × 13円 = 約1,733万円
4. 1,733万円 ÷ 100倍 = 17万3,300円
今回の場合、17万3,300円の資金があれば月20万円のスワップポイントを得られる可能性があると予測できます。ちなみに、レバレッジを1,000倍かければ、必要な資金は1万7,330円です。レバレッジを高くするほど必要な資金は少なくなります。
スワップポイント生活のメリット
- 基本的に放置しているだけなので取引が簡単
- 銀行口座にお金を眠らせておくよりも多くの金利を受け取れる
- 難しい相場分析をする機会が減る
- トレンドを読む必要がない
- トレードに時間を取られない
スワップポイント生活最大のメリットは、取引が不要なことです。トレーダーがやることは、通貨を選んで保有するだけです。FX初心者でも比較的簡単に手法を覚えることができます。また、取引に時間が取られないのも魅力なので、忙しいビジネスパーソンや主婦などにもぴったりです。
スワップポイント生活のデメリット
- スワップポイントが毎日受け取れるとは限らない
- スワップポイントで得た利益よりも為替損失の方が多くなる場合もある
- 多額の資金を用意したり高いレバレッジをかけたりと、少しリスクが高い
スワップポイント生活最大のデメリットは、大きな為替損失を負う恐れがあることです。実際、スワップポイント生活を狙ってトレードをした結果、相場が逆行して数百万円の損失が出たというトレーダーも存在します。スワップポイント生活をするためには、相場が逆行しても負けないような高い資金管理能力が求められるので注意しましょう。
【結論】スワップポイント生活はできるがおすすめしない
スワップポイント生活についていろいろ説明してきましたが、結論としてスワップポイント生活はできます。しかし、スワップポイント生活に憧れるのは、おすすめできません。なぜなら、FX初心者にはリスクが高いからです。
例えば、レバレッジを1,000倍かけた場合、上手くいけば少ない資金でスワップポイント生活ができます。しかし、1,000倍の為替損失を負うリスクも伴っています。FX初心者に、それほどの損失を負っても平気で取引ができる資金力やリスク管理能力は備わっていないでしょう。
スワップポイント生活を目指すのではなく、王道に売買による利益を狙ってFXに励むことをおすすめします。
まとめ
今回は、FXで得られるスワップポイントの計算方法やスワップポイント生活などについて説明しました。
スワップポイントとは、通貨ペアの金利差のことです。通貨Aの金利が10%で通貨Bの金利が-1%であれば、毎日9%の金利を受け取れます。このスワップポイントは、以下の計算式で求められます。
現在のレート × 保有通貨数 × 金利差 = 1年間のスワップポイント
1日当たりのスワップポイントを求めたい場合は、この答えを365で割ってください。
最後に、理論的にはスワップポイント生活ができます。しかし、リスクが高いのでおすすめはしません。スワップポイントは、あくまでもおまけの利益に留めておくことをおすすめします。